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作品紹介

山口 長男Takeo Yamaguchi

In
45.0 × 37.0 cm
板・油彩

共シール
1972年作
oil on board
painted in 1972

文献・図版/Literature

山口長男作品集 No,355掲載


1950年代以降、作風は年代を追うごとに、格子状の模様から凹凸のフォルムへ変わり、晩年には黄土色と赤褐色の色面が黒色を侵食するようになって、最晩年には完全な色彩の面となって行った。 本作は1970年代の晩年の作である。 それぞれの黒と赤茶色の画面とのせめぎ合いである。 赤茶色は朝鮮の大地の色、長男が若き日に慣れ親しんだ大地の色なのだという。 何度も塗り重ねられた色はペインティングナイフの跡が残り、長男の制作過程をうかがい知ることができる。 「ペンキでも一塗り下塗りをし、中塗り上塗りとありますね。これが最低限です。 ただ、それはまだものを言わないという状態とすると、今度は言うまで重ねる。 とにかく画面からの働きかけがあるまでやって行くというようなことになるわけです。 だからただ塗っただけの、色と形の調和ぐらいでは、デザイン仕事でしかない。 それを私は薄っぺらと感じるんですね。 重ねるということは、自分の一つの期待でもあると同時に、自分のまた養分になってゆく面があるはずですから、もうこれ以上いかないというまで繰り返し、充実が出るまで塗ります」 「もうこれ以上いかない」というまで繰り返された塗り込みは、長男自身の禅問答のようなやりとりが感じられる。堅実な仕事とプリミティブな造形は、長男の仕事として日本だけでなく海外でも高く評価されている。 すでに1950年代の国際的展覧会には日本を代表する抽象画家として、山口長男は欠かせない存在であった。 デザイン仕事にならないようにと戒められた画面の表情は、洗練された格好良さがある。 現代的でもあり、古さと新しさのどちらにも属さず、唯一無二の独立した存在であり、抽象画であることを忘れてしまう。 ただ一身に「絵を描くことは、どういうことなのか」と若き日に問うた求道の答えが、時代を問わず我々の心を打つ。残された作品は山口長男という人の全てなのであろう。