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作品紹介

岡田 三郎助Saburosuke Okada

裸婦Female Nude
27.1 × 18.9 cm
キャンバスボード・油彩
1933年12月作

東京美術倶楽部鑑定証書付
oil on canvas board
painted in December 1933

明治2年に生まれ、日本の近代洋画の魁的存在となった岡田三郎助。
背中を見せた浴衣の女性が描かれた「あやめの衣」は多くの人の印象にある。
岡田は25歳の時に黒田清輝と出会い、それまでの日本にはなかった、明快な色調の油絵に惹かれる。そして28歳でフランスへ留学し、黒田清輝も師事していたラファエル・コランに学ぶ。当時のフランスでは印象派が主流であったが、コランの作風は古典的な写実を基本とし、戸外の光を画面に取り入れた明るい画風から外光派と呼ばれた。岡田は留学時に初めて裸婦を描いた。
裸婦を描くことが困難であった近代日本では、裸婦という存在の必然性を入浴図から水浴図に求めた。岡田もそうした一人である。コランと同じように、様々な色調を見せる森林という場所を描き表現したことも、「色彩の画家」と呼ばれる評価に繋がった。裸婦像は師であるコランも多く描いていたが、岡田は師の作風を踏襲しつつも、独自の日本人的な感性を生かした作品を模索していく。そして岡田は昭和4年の還暦前より、画中のサインをローマ字表記から漢字表記に変えている。それは、岡田が目指した日本人としての油絵の完成を意味したに違いない。
岡田三郎助は日本近代洋画における優美な女性像の先駆者であった。本作が描かれた昭和8年前後は多く裸婦像を残している。水面に足を浸そうとしている水浴の一場面である。背景に描かれた森林の緑は多くの色を使って外光の抑揚を表現しており、女性の美しい白い肌とふくよかな肉体は、細やかに色をのせた筆致がよく見て取れる。この構図は現存が分かっている作品の中でも岡田が多く挑戦した代表的なテーマと言って良い。岡田の裸婦像には、なまめかしいエロティシズムのような女性美は一切ない。かといって男性的な無骨な強さが支配する訳でもなく、そこにはロマンティシズムを孕んだ健康的な清楚な美が表現されている。観るものが正面から受け止められる清々しさがあるのだ。
日本近代洋画が花開き出した、岡田三郎助64歳の晩年の作である。