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作品紹介

山口 薫Kaoru Yamaguchi

青梅Blue plum
22.4 × 27.3 cm
キャンバス・油彩

1967年作
東京美術倶楽部鑑定証書付
oil on canvas
painted in 1967

その絵はいつもどこか叙情的でどこか郷愁がある。
具象画でありながら、抽象的な要素があるようで、固定化した実体というよりも、観る時によってその姿を変えているような、不思議な愛おしさがある。
山口薫は、1907年群馬に生まれる。
画家としてこの世を去ったのは60歳の時。
これからもまだまだ多くの作品を見たかったが、肉体がすでに精一杯の所に来ていた。
山口薫は絵画の他にも詩作を好み、溢れ出る感情を言葉にして多く綴った。
それは絵画にも大きく影響し、表面的なことよりも、詩的な創造力でその深奥への追求をしていった。
「絵描きとして抒情を造形としてとりこみたい」と山口は述べている。
彼が残した詩文にこんな一部がある。
「芸術家は  心は何時もまずしさに置くべきだ」
「きたないと思うけれど何だかきれいだ    それが美術だ」
本作は青い梅の実が描かれている。何気ない題材である。
しかし、山口薫らしい緑が美しい。
この郷愁を孕んだ緑色は、単なる緑ではない。
どこかに影を潜ませた、描くことに向き合い続けた人間だからこそが表現し得る、混沌と情愛の色である。
くすんでいようと、混じっていようと、美しい緑なのである。
描かれたのは、山口が亡くなる前年である。描くたびに苦しみ、ウィスキーの量が増えた山口。
それはあまりにも真摯な人間の弱さであろう。
それを振り絞ってキャンバスにぶつけた。
それ故に残された彼の絵は輝くのだ。