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作品紹介

坂本 繁二郎Hanjiro Sakamoto

静物Still life
キャンバス・油彩

坂本暁彦鑑定証書
oil on canvas

戦時中は馬が軍用され、遠出もかなわなかったことから、繁二郎は馬に変わる題材として、1940年頃より静物画を描くようになる。 身近にあるものは、卵から、野菜から全て大事なモチーフとなった。 本作は、リンドウの花にガラスのコップ、しわくちゃにされた紙、それらが主人公である。 透けたガラスの向こうからも花と紙が見て取れる。光があたり湾曲して見えた、ガラスの向こう側が丁寧に描き込まれている。 小さな画面の中にも、物と空間のバランスや均衡の不動の妙を感じさせる。 繁二郎は、東洋芸術である墨絵を強く意識していた。 「油絵を使って、墨絵の幽玄さの基礎となっている光と色と物の感覚をどこまで集中させ得るか、また統一し得るか」 「墨絵でない以上、墨絵の単純化された色彩の世界にさらに外延的な色の世界を盛り込まねばなりません」と残している。 物があり、それらを照らす光と流れる空気がある。 本作もその筆致は非常に着実で、確かめるかのように色を乗せて、その空間を描いている。 丁寧に捉えようとした痕跡がよく見て取れる。それは究極の写実のようだ。 その静の情景を深い所まで掘り下げた坂本繁二郎は、我々には見えない色彩を感じ、それを油絵の具で色として作り出し、実体として描き出した。 これこそが、坂本繁二郎という画家が表現しようとした東洋の優れた感覚から生まれる幽玄の世界である。