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作品紹介

難波田 龍起Tatsuoki Nambata

形象Figure
27.3 × 22.0 cm
油彩・キャンバス

1958年作
裏に署名・画題・年代
oil on canvas
painted in 1958

難波田龍起の抽象画は1950年代の初期に、対象の形の原型を残した幾何学的な形から始まる。 そして55年あたりから、生命感の躍動をさせる無数の線が複雑に交差する作品を描くようになる。 さらには、先に紹介した作品のような、エナメルを用いたドリッピング技法の作品へ変遷して行く。 難波田の抽象画には多く線が登場する。 その線は、表現されるシャープさから知的で凛とした静謐さを感じさせる。 難波田は、知遇を得ていた高村光太郎の「生命の戦慄のないものは芸術ではない」という言葉に象徴される作品を多く描いている。 清澄な色彩に多くの鋭い線が行き交うことで、深遠な静寂の世界観が広がるものが多い。 それは、まさに「生命」の持つ、悲哀的な要素が強いように思う。 難波田自身が厳しい宿命を背負っていることを象徴するかのような鋭い線が多く描かれ、彼の心の叫びを感じさせる。 本作は1958年作、「形象」である。 しかし、本作は前に述べたような清澄な色彩に表現される寒色とは違い、暖色が用いられている。 その穏やかな色彩は、生命の「悲哀」というよりは、「喜び」のような暖かな印象を受ける。 リズミカルに曲線を描き、まるで線と色が交歓しているような、華やかな躍動が交錯する情景が繰り広げられている。 純粋に描くことは楽しいと、そんなことを謳っているような、難波田の豊かな心情が伝わるのだ。 難波田の抽象画の中では珍しい作品とも言える。