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作品紹介

須田 国太郎Kunitaro Suda

薔薇Roses
37.9×45.5cm
キャンバス・油彩

東京美術倶楽部鑑定証書付
oil on canvas

文献・図版/Literature

須田国太郎画集 掲載


須田国太郎は1891年京都に生まれる。画家として活動を始めるのは、40歳を過ぎてからのこと。京都大学を出て、美学・美術史を専攻していたことから、卒業後は美術史の研究を続けながら講師として教壇に立っていた。28歳の時には念願の留学を果たす。須田が選んだのは、当時の日本人画家たちがこぞって憧れていたフランスではなく、スペインであった。プラド美術館に日参し、模写に励み、ルネサンス期のヴェネツィア絵画からバロックにかけて行われた油彩画の変遷に心を動かされる。豊かな色彩を捨てたバロック絵画の劇的な明暗の絵画を研究し、単なる西洋の模倣ではなく、日本人として自身の表現すべき絵画を求めていった。

 須田はデッサンに基づいて、対象を描き出してから、一度パレットナイフで全面を削り取るという独特の技法を用いている。そこからまた、色を重ねてはまた削るという方法で内容を浮かび上がらせて行く。スペインで研究した神秘的な闇の色彩を自身の絵画でも追求している。重厚な真紅の薔薇が描かれた本作も画面に目を凝らすと、絵肌は見た目の重厚さに反して薄く感じ取れる。画面の所々には伸びやかな筆の動きが見てとれ、ペインティングナイフでぐっと力を入れた箇所など、あまりに多くの情報が画面に現れていることを知る。それは繊細な仕事であると同時に、制作における強靭な意志力の表れとも言える。その格闘のような行為が、絵に深みと品格を与えているに違いない。描かれた薔薇の絵は、ジリジリと浮かび上がって出来た異質で重厚な美しさをもち、それは須田国太郎自身の実存の痕跡のように思える。