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作品紹介

長谷川 利行Toshiyuki Hasekawa

隅田川夕映
19.8×12.8cn
紙・水彩
1933年作

木村東介シール
東京美術倶楽部鑑定証書付

長谷川利行の水彩画『隅田川夕映』

水彩ならではの色の滲みや、ぼかしが利用され赤く染まった隅田川の景色が何とも叙情的な一枚である。

描かれた1935年というのは、利行が浅草や上野界隈、そしてそこで生活をする人々を多く描いた時期にあたる。また、翌年の1936年には9回、1937年には15回にも渡って精力的に個展を開催した。まさに制作意欲が絶頂に達し、とにかく描くことに生命を注いだ時代でもあった。

スケッチブックに絵の具を持ってあちらこちらを歩き回り、描きたいものをその場、その瞬間に一気呵成に描き上げて行ったのであろう。

利行らしい味のある筆致でその一瞬の美しさが捉えられている。赤く染まった空は街並みを飲み込むような強さがあり、水面はその空と町の色が調和して深い色味を映し出している。空、街並、水面の複雑に絡み合った色彩美が利行の技量の高さを物語っている。夕映えのすぐに消えてゆく一瞬の美しさを捉えるには、水彩という技法が一番正しかったのかもしれない。いつか出会った夕映えの美しさに感動し、描き出した利行の心情がよく伝わる秀作である。

今年は全国5箇所を回る回顧展が開かれている。元々ファンの多い画家であるが、さらに長谷川利行という人物が再評価される年となるであろう。