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作品紹介

有元 利夫Toshio Arimoto

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53.0 × 45.5 cm
板にキャンバス・ミクストメディア

1976年

文献・図版/Literature

有元利夫全作品 1973~1984 P,33 No,83 所載


1976年、有元利夫は大学卒業後、3年間勤めた電通を退社し、母校の東京芸大で非常勤講師をしながら画業一本の生活へ転向する。本作はその76年に描かれたものである。

 わずか10年と少しという短い画業の中でも、有元作品は70年代と80年代で作風の違いを見せている。70年代の作品は特に有元が思い描く不思議な世界が変幻自在に描かれている。ミステリアスで、明るく陽気で自由気ままな、一つの物語が閉じ込められているようである。

 有元利夫しか表現できないあの深みのある赤のカーテンに、空。浮遊する人物。雲の広がる青い空を、赤いビロードのカーテンで閉じようとしているのか、はたまた開こうとしているのか、その不思議なテーマは、何とも魅力的である。「人物の浮遊」が見られるのも、70年代が圧倒的に多い。有元曰く、嬉しい時や幸福感でいっぱいの時の「天にも昇る気持ち」という言い回しが大好きで、「浮遊」は陶酔感の表現なのだという。見る側が楽しい気持ちにさせられるのは、そういう心情が作品の根底にあるからかもしれない。

 風化を表現するために施された画面上の亀裂や剥落、そして岩絵具と油絵の具を混ぜて使用した絵肌。どれもに有元の思いと制作に対する楽しみが込められ、描かれた不思議なイマジネーションの世界と相まって作品は際立った存在感を放っている。