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作品紹介

香月 泰男Yasuo Kazuki

タヒチ・太陽
紙・水彩

1971年作
香月婦美子・藤田士朗 鑑定証書付

シベリアの抑留体験から生み出されたシベリアシリーズに代表される作品を描いた香月泰男。

深いカーボンブラックの黒を使い、素朴で重厚な作品を生み出した。

自身の画業が花開き、いよいよこれからという時期に、従軍し更にはシベリアへ抑留される。日本に戻ったのは終戦より2年後の1948年であった。

失った時間を取り戻すかのように香月は絵を描き、海外にも積極的に出向き自身の芸術の糧にした。

 1971年 60歳の時に、香月は夫人と約3週間タヒチ島に旅行をする。

そして、その年の11月には、東京の3画廊と大阪の1画廊で、約100点を同時に発表した「香月泰男タヒチ水彩展」を開催する。

その場所が気に入ったのか、74年に62歳で亡くなる前年に、香月は再度タヒチ島を訪れている。

「太陽と月のありがたさを、私は満州へ征き、シベリヤに連れて行かれて知った」と香月は述べている。

人を照らす灯りの存在に、心を震わせた香月の苦労は我々には計り知れない。

太陽とはまさに、生命の象徴ではないか。生きる力そのものであろう。

香月は多く太陽の絵を描いている。

本作は水彩画である香月は、このタヒチで見た太陽を水彩絵の具の紫と金と銀を用いて表現した。

赤ではなく、その色を用いた所に、香月が見た風景の神秘さを思わされる。

海から上がる太陽が水面に反射し、あたりがまばゆく輝いているようだ。

絵の具の粒子が控えめに光り、風合いの面白さがある。重く暗い色を好んだ香月らしさを感じる。