作品紹介

夏の名残 (竹内浩一先生・晩夏一輪)

雨の降る夏、ネムノキの木陰でカモが雨をしのいでいる。静けさの漂う情景に、繊細で細やかな配色が絵に柔らかさと優しさをもたらしている。

竹内先生に本展覧会のお願いに上がったのは、ちょうど関東・関西が梅雨入りをした日であった。それから、季節は夏を迎え、先生がこの絵を描かれていたのはまさに、「晩夏」であったのだろう。

夏も終わりに近づくと、それまで威勢のよかった蝉の声色が代わり、秋の虫たちの声が聞こえるようになる。暑さも幾分か和らぎ、至るところに秋の気配を感じるようになると、どことなく夏への郷愁を感じ、少し切なさを覚えてしまう。そんな季節に生きる日々の一場面が、雨をしのぐカモの姿から伝わってくる。ネムの花にとっては潤いであり、カモにとっては重たい雨。静かな情景の中にも湿度や夏の匂いを感じる。

生物の気配や情感から自然を感じるということはとても尊いことながら、難儀なことである。見ようとせず、見過ごしてしまうのが日常であり、時の流れなのではないか。画家の目と心と技を通して、我々はそのことに気づかされる。

(た)

*東美アートフェア・画廊にて展示いたします。

*作品の詳細はお問い合わせください

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竹内 浩一先生

『晩夏の一輪』

53.0×45.5cm (10号)

紙本・彩色・静野シール

 

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