作品紹介

1920年の大阪(小出楢重 / 江の子島風景)

小出楢重によって1920年に描かれた、大阪・江之子島風景である。右奥には今はもう存在しない、旧大阪府庁庁舎の洋式な建物が見える。近くには、幕末から明治政府が外国人の居住や交易のため設置した居留地があったこともあり、洋食店、カフェなどが立ち並び、政治経済・文化の発信地として、おのずと活気や未来への希望が溢れていたに違いない。小出自身もそんな景色や雰囲気を肌で感じながら、この大阪の地より翌年には渡仏を果たす。

小出といえば、やはり油彩画とガラス絵の評価が高い。しかし、親交のあった滋賀出身の西洋画家・黒田重太郎は、小出のことを「本来彼はパントル(画家)であるよりも、質上よりデシナツール(素描家)であり、その油絵の多くは、油絵の具を以ってするデッサンだと云ふことができる」と評している。

本作はまさに貴重な小出楢重の素描である。金泥を用いるなど斬新でセンスのある色使いに、細かい描写と当時の息吹とも言える、ノスタルジックな郷愁がある。小さな画面だが、大きな魅力が詰まっている。

 

 

*5月25日〜6月3日「一つは持ちたい素描・水彩・ガッシュ展」 出品

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小出 楢重

『江之子島風景』

17.3×20.0cm

紙・ペン・淡彩

1920年作